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名古屋地方裁判所 昭和53年(わ)262号 判決 1978年6月30日

本籍と住居

愛知県豊橋市曙町字若松八八番地の一

会社役員

三ツ矢克典

昭和八年三月八日生

本籍と住居

愛知県豊橋市山田一番町六〇番地

会社役員

伊藤英雄

昭和六年四月二九日生

右の者らに対する所得税法違反被告事件について、検察官佐藤武志出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人三ツ矢克典、同伊藤英雄をそれぞれ懲役一年及び罰金一、四〇〇万円に処する。

被告らが右罰金を完納することができないときは五万円を一日に換算した期間、完納できない被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人両名は、愛知県豊橋市小松町字南郷六番地の六において「中央電機研究所」の名称で温室部品の製造販売を共同経営し、その収益を折半で配分していたものであるが、共謀のうえ、所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、受取手形を簿外にする等の不正行為により所得の一部を秘匿したうえ

第一、被告人三ツ矢克典の所得につき、

一、昭和四九年分の実際所得金額が三八、九〇九、三〇五円で、これに対する所得税額が一八、二六八、二〇〇円であったのにかかわらず、昭和五〇年三月一四日、豊橋市前田町一丁目九番地の四所在豊橋税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一三、〇一四、六三三円で、これに対する所得税額が三、八四八、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額一四、四二〇、〇〇〇円の所得税を免れ

二、昭和五〇年分の実際所得金額が六二、〇七七、七五二円でこれに対する所得税額が三二、七六三、八〇〇円であったのにかかわらず、昭和五一年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、みなし法人課税方式を選択したうえ、所得金額が一〇、五〇二、一九九円で、これに対する所得税額が一、七九三、二七四円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額三〇、九七〇、五〇〇円の所得税を免れ

三、昭和五一年分の実際所得金額が六一、九〇四、二五一円で、これに対する所得税額が三二、六二五、九〇〇円であったのにかかわらず、昭和五二年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、みなし法人課税方式を選択したうえ、所得金額が一二、六三五、〇一〇円で、これに対する所得税額が二、六五三、三九一円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額二九、九七二、五〇〇円の所得税を免れ

第二、被告人伊藤英雄の所得につき

一、昭和四九年分の実際収得金額が三八、〇四八、三〇五円でこれに対する所得税額が一七、四二四、〇〇〇円であったのにかかわらず、被告人伊藤が、前記中央電機研究所の従業者であるとして昭和四九年中に被告人三ツ矢から合計七、五八〇、〇〇〇円の給与支給を受けたにすぎないように装って、これに対する源泉所得税額七六七、五〇〇円を納付し、同研究所にその源泉徴収簿を備え付けるなどして同五〇年三月一五日までに前記税務署長に対し所得税確定申告書を提出せず、もって右不正の行為により正規の所得税額と右源泉所得税額との差額一六、六五六、五〇〇円の所得税を免れ

二、昭和五〇年分の実際所得金額が六〇、八七七、七五二円でこれに対する所得税額が三一、五三五、一〇〇円であったのにかかわらず、前同様の方法により、昭和五〇年中に被告人三ツ矢から合計一二、八〇〇、〇〇〇円の給与支給を受けたにすぎないように装って、これに対する源泉所得税額二、四二七、六七〇円を納付したうえ、昭和五一年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し所得金額が一〇、四七〇、〇〇〇円で、これに対する所得税額が二、二五三、四八〇円であるから右源泉所得税額との差額一七四、一九〇円の還付を受ける旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右源泉所得税額及び同還付金との差額二九、二八一、五〇〇円の所得税を免れ

三、昭和五一年分の実際所得金額が六〇、五一四、二五一円で、これに対する所得税額が三一、二八三、五〇〇円であったのにかかわらず、前同様の方法により、昭和五一年中に被告人三ツ矢から合計一三、七〇〇、〇〇〇円の給与支給を受けたにすぎないように装って、これに対する源泉所得税額二、七〇八、四四〇円を納付したうえ、昭和五二年三月一五日、前記税務署において、同税務署長に対し、所得税額が一一、二八〇、〇〇〇円で、これに対する所得税額が二、五五三、八六〇円であるから右源泉所得税額との差額一五四、五八〇円の還付を受ける旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右源泉所得税額及び同還付金額との差額二八、七二九、六〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠)

一、被告人らの当公判廷における供述

一、検察官請求証拠等関係カード(甲)番号1乃至33及び同(乙)4乃至28に記載された各証拠

(法令の適用)

犯罪事実について、それぞれ

所得税法二三八条一項、刑法六〇条(懲役と罰金とをそれぞれ併科)

併合罪の加重と罰金額の合算、併料について、それぞれ

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条一・二項(懲役刑に関し被告人三ツ矢につき犯情の最も重い起訴状公訴事実第一の二の罪の刑に、被告人伊藤につき、同第二の二の罪の刑に加重)

懲役刑の執行猶予について、それぞれ

刑法二五条一項一号

労役場留置について

刑法一八条

(裁判官 石川哲男)

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